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【王喜タケノコ部会】 上野誠司さん 古本剛史さん

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【王喜タケノコ部会】上野誠司さん 古本剛史さん

 

 下関市の東部に位置する王喜は海と山、木屋川に接していて米や野菜の栽培が盛んな地域です。そして竹林も多く、古くからタケノコの栽培も行われていました。王喜の松屋地区は、かつては品質の良い「松屋タケノコ」の産地として知られていましたが、近年は担い手が減り、放置されてしまったままの竹林も増えています。

 

 そんな松屋地区に、荒れてしまった竹林を手入れしてタケノコを出荷し始めた若い生産者がいます。上野誠司さんと古本剛史さんです。40代のお二人は同じ地区に住む幼馴染です。いずれも平日は会社員として働きながら、週末などを利用して代々受け継いだ竹林の整備に精を出しています。

 

 「春になったら当たり前にタケノコが出てきて、家でも普通に食べてたんで、タケノコが売れるっていう感覚がなかったんですよね。」と古本さん。「家の土地管理で税金も払わんといけんけど、仕事して自分で払うより山の恵みのタケノコが売れて、そのお金で税金が払えたらいいと思って。」とタケノコの生産を始めたきっかけを話してくれました。

 上野さんも「若いだけではなかなかやる気にはならないけど、家に竹林があって祖父や親がタケノコ掘るのを見てたとか、同じような境遇の人と一緒にできたら頑張れるっていうのはありますね。」と言うと、「でもね、1回ちょっとやってみようってわけにはいかんでしょう。1回出荷するには1年かかるわけやし。何年もかけんと山の整備はできんのですよ。」と古本さんが続けました。

 

 同じ地区には同世代でタケノコ栽培の先輩、山本由人さんがいます。山本さんは20年ほど前から実家の竹林で高品質なタケノコを生産しています。そんな山本さんから教えてもらいながら、増えすぎてしまった竹を切り倒して運び出し、赤土を掘ってきて竹林に入れたり、新しく成長した竹に印をつけて管理したりと様々な作業を行なっています。
 ​そんなお二人に、地元のボランティア団体「かぐや姫の里づくりの会」が整備している竹林を見せてもらいました。2002年から地元の里山再生と地域の活性化を目的に竹林を整備して、里山体験交流会などを行なっている場所です。

 

竹林を案内してくれる古本剛史さん

 

 木漏れ日が差し込む気持ちのいい竹林は竹と竹の間隔が十分とってあり、風が通り抜けます。足を踏み入れると「そこにタケノコがありますよ。」と上野さんが地面を指さしました。ただの地面に見える場所をじっと見つめてみましたが、全く気配を感じません。「もう少し土が乾いたらひび割れが見えるんですけど。」と言いながら、上野さんがクワでその場所を掘ると…土の中からタケノコが出てきました! すごい!「まだ時期が早いけぇ、見つけにくいけど、上野さんはすぐ見つけるんよね。すごい上手なんですよ。」と古本さんが絶賛すると、上野さんは「子どもと公園行った時とかも地面にちょっと盛り上がりがあったりしたら、つい掘りたくなるんですよね。タケノコ農家あるあるだと思いますけど。」と笑いました。

 

 よく見ると地面には穴が開いているところもあります。「ここはもう掘ったところですか?」と尋ねると「そこはイノシシが掘って食べたんですよ。アイツらホントすぐ見つけるんやけぇ。」と古本さんがクワで周りの土を集めて穴を埋めました。タケノコを栽培するうえではイノシシの被害防止にも気を配らないといけないようです。

 「ここはきれいに整備されて、陽が入ってくるから竹があんまり高く伸びてないんですよ。全然整備してない竹林は竹が密集して陽が入らんから、光を求めて上に上に高く伸びるんですよ。そうなるとまた切り出すのも一苦労なんですよね。」と上野さんが教えてくれました。

 

田んぼに進出してきた竹の写真放置された竹林の写真

 

 王喜町笹ヶ瀬地区にある古本さんのお宅の敷地で、長年放置されていた竹林を見せてもらいました。竹林のそばには竹が侵入した田んぼもありました。一度竹が生えてしまうと、もう田んぼに戻すことはできないので、今はそこに赤土を入れて、どんな品質のタケノコになるか実験しているそうです。

 

 さらに奥の山に踏み込むと、あちこちに枯れて倒れた竹もある薄暗く密集した竹林がありました。「ここはこれから手を付けるとこなんですけど、ご覧の通りどこからやったらいいかわからんでしょ。でも時間がたてばたつほどもっと大変になるんで、やっぱやるなら今、なんですよね。」と古本さんが力強く言いました。上野さんも「平日は仕事しながらも山のことが気になったりしますね。自分とこの土地でもじいちゃんが赤土削った跡が残っとるのを見つけたとき、ちょっと感動しました。先祖が手入れして残してくれた山を、ちゃんと自分も手入れして子孫に残したいと思いますね。」と熱く語ってくれました。

 

 二人とも今は会社員としての生活もありますが、ゆくゆくはタケノコ農家だけで生活できたらと思っているようです。まだ出荷し始めて数年の二人、古本さんが「僕ら農家のタケノコですから!」と言うと、上野さんが「また上手いこと言って〜。」と大笑いしていました。二人の笑顔を見ていると、王喜のタケノコの未来は明るいと思えました。

 

タケノコ農家について語る上野誠司さんと古本剛史さん土から出てきたばかりのタケノコの写真

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