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【山口県漁協六連島支店】 前田敏弘さん

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【山口県漁協六連島支店】前田敏弘さん

下関漁港の竹崎桟橋から定期船の六連丸に乗って約20分、六連島の港に着きます。船を降りて、少し歩いたところに山口県漁協六連島支店の建物がありました。

引き戸を引いて中に入ると、女性の職員さんが「トシちゃん今、沖に出とるけぇ、ちょっと待っとったら帰って来ますよ。」と教えてくれました。「トシちゃん」と聞いて「ご家族の方ですか?」と尋ねると「違いますけど、島では前田さんってお家が他にもあるんで、下の名前で呼ぶことが多いんですよ。みんな家族みたいなもんですけぇね。」と笑顔で話してくれました。
六連島支店のすぐ前は、船がたくさん泊められていて、大きな石油タンクが並んでいます。

港を歩いていると、大きな船が港に帰ってきました。乗っていた方に「前田さんですか?」と尋ねると「違いますよ。でも、前田さんならすぐそこで潜ってますから、端まで行ったら船が見えますよ。」と教えてくれました。
堤防の先のところまで行くと、伝馬船が見え、人影もあります。しばらく見ていると、船がこちらに向かって動きだしたので、六連島支店の近くに戻りました。

船が帰ってきたところで「こんにちは。前田さんですか?」と声をかけると、大きな声で「こんにちは!お待たせしました。前田です。ナマコ獲ってきましたよ。」と満面の笑みで、船の上の四角い大きなカゴを開けて見せてくれました。

漁獲されたナマコを見せてくれる船上の前田さん

カゴの中には、黒々と光る丸いものがたくさん入っています。「わあ、すごいたくさん!」と驚くと「いや〜最近は、あんまり獲れんごとなりました。前はいっぱいおったんやけどね。」と言いながら、ナマコの入ったカゴを陸に上げました。

多い時には1日に100kgも獲れることがあったそうですが、今は20kgくらいだそうです。黒っぽいと思ったナマコは間近でよく見ると、いろんな色があり大きさも手のひらから溢れるくらいの長細いものや、丸っこいものなど形もいろいろです。

「昔はね、生で食べる赤ナマコばっかりやったけど、ここ最近は黒ナマコがよく売れるけぇ、黒とか青を獲るんですよ。赤ナマコは、お正月に買う人が多いけぇ、年末にはいっぱい獲るけどね。この辺じゃぁ、黒とか青は硬くて誰も食べんけ、昔は獲らんかったけど中国で乾燥させた黒ナマコが人気らしくて、最近はこの辺でも獲るようになったんですよ。」とのこと。
実は、北京オリンピックがあった2008年以降、中国への輸出用の黒ナマコの需要が高まり、当初は北海道から多く輸出されていましたが、最近は、全国各地で輸出用に黒ナマコを獲るようになってきたそうです。

漁獲された黒ナマコ、青ナマコ、赤ナマコ

「さっき岸壁から船が見えましたけど、あんなに近くで潜るんですか?」と聞くと、前田さんは「そうそう、だいたい島の周りですね。ナマコは、サザエやアワビよりも深いところにおるんで、10mくらい潜るんですよ。結構、体力がいるんで潜るのは長くて2時間、冬は1時間半くらいやね。精神力が大事です。気合いと集中力がいりますいね。」と言い、ワハハと大きな声で笑いました。

前田さんは、高校を卒業した頃から40年以上ナマコ漁をしています。40代までは、会社勤めをしながら週末は漁に出る生活をして、小型定置網漁業などもしていたそうです。漁師の家系ではありませんでしたが、自分には農業よりも漁業の方が向いていると思って、漁師を選んだそうです。

ナマコ漁は、島にいる漁師の先輩から学んだとのことでした。
「赤ナマコは、岩礁におって、青や黒ナマコは砂泥とかというふうに、どんな場所にナマコがおるか、最初は教えてもらいました。」と言う前田さんも、今はベテランとして島の若手漁師にナマコ漁を教える立場になっています。

六連島では、80代のベテラン漁師は、比較的浅いところにいるアワビやサザエを潜って獲っています。60代の前田さんは、まだ若手になります。40代の漁師とともに競合の少ない、深いところにいるナマコを獲っています。「みんな生活がありますけぇね。今は、黒ナマコがよう売れるけぇ、若い人にもやらんかねって進めたんです。若い人は宝ですけぇね。」と前田さんは、優しい笑顔で海を見ていました。

自分で獲ってきたナマコを食べることは、あまりないそうですが「六連島のは美味しいですよ。」と勧めてくれました。
市内の市場に流通するのは、生で食べる赤ナマコとのことでした。お正月の料理として人気なので、六連島産のものを食べたことがある方も多いかと思います。赤ナマコを丸ごと買う機会があったら、ぜひ「これどこで獲れたナマコですか?」と聞いてみてください。もしかしたら、前田さんが獲ったナマコかもしれませんよ。

六連島のナマコについて語る前田さんカゴいっぱいに漁獲されたナマコ

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