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寒干大根

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家先にたくさんの大根が干された竹竿が何段にもなっている様子
 
 下関市吉母地区の冬の風物詩にもなっている寒干大根に使われるのは白太郎(はくたろう)という漬物用に特化した品種です。根の部分は40cmから50cmに成長します。曲がったり、先が割れることが少ないので、抜き取り作業がしやすいそうです。やわらかく、真っ白で食味が良いのが特徴です。吉母地区では秋に休耕田に植えられ、冬に収穫されると、生産者の各家庭で加工されます。
 大根は10cmくらい葉っぱの部分をつけたまま厚めに皮をむき、一本を4つから6つに縦に切り分けて、面取りをして大きさと形を整えます。そして2本ずつ、葉っぱの部分で結んで竹竿に引っ掛けて干します。ずらりとたくさんの大根が干された竹竿が何段にもなっている様子は壮観です。
 その後は気温が6℃から10℃くらいの雨が降ってない日に大根を干します。曇りで風がある日がいいそうです。気温が低すぎて凍ったり、雨に濡れると変色やカビでダメになってしまうので、天気の様子を見ながら何本もの竿に干してある大根を出し入れします。
色と乾燥具合を見ながら10日から2週間かけて干し終えると、大根は細く固くなっているので、一度さっと水に浸けて少し柔らかくしてから揉む作業をします。木の台と右手に持った木の板で挟んで大根を押さえながら揉み、丸く伸ばすように形を整えていきます。揉んだ大根は長さを切り揃えて、もう一度乾燥させてから10本1束にまとめられ、出荷されます。大根を収穫してからの工程だけでも、一連の作業で1ヶ月ほどかけて吉母の寒干大根が出来上がります。
 1月から3月にかけて吉母の寒干大根のほとんどは大阪、神戸、博多に出荷され、料亭などで使われています。ごく一部は、秋根にあるJA山口県下関統括本部の敷地内にある「やさい大好き直売所」に出ることもあるそうです。生産者のご家庭ではかんぴょうのように甘く煮て海苔巻きに使われたり、煮物に使ったりされるそうなので、もし市内で買う機会があったら、ぜひ凝縮された大根の甘みと旨みをお楽しみください。

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