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【山口県漁業協同組合 王喜支店】運営委員長 大石茂美さん 田尾重喜さん

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山口県漁協 王喜支店のみなさん

下関の東部、木屋川河口の海では、ノリの養殖が行われています。昭和初期には、瀬戸内海に面した長府地区から王喜地区にかけて、ノリの養殖が盛んに行われていました。しかし、だんだんとノリを養殖する漁業者が減り、今では王喜地区を残すのみとなりました。

海苔ヒビ」と呼ばれる養殖用の網が貼られた場所で作業を行うみなさん海に浮かぶハコ船と盛漁丸

12月下旬の晴れた日、海上自衛隊小月教育航空群の飛行場すぐそばの王喜漁港で、田尾さんの船に乗せてもらい、生ノリの収穫を見せてもらいました。
「ノリヒビ」と呼ばれる養殖用の網が貼られた海域は、宇部市の養殖グループと共同で使われていて、全部で3か所に分かれています。

「今日はベタ凪でよかったね。すぐそこやけど。」と田尾さんは、船を操縦しながら海の上を指さしました。出港してからわずか数分、船を止めると「ほら、そこのハコ船でノリとりよるよ。」と教えてくれました。

見ると、点々と丸いウキが並ぶ海の上に、四角くて浅い船に乗った2人の男性が黒い布のようなものを引き揚げています。「あの黒いのがノリよ。ノリが生えとる網を引っ張り上げながら、ハコ船のローラーにかけて機械でかき取るんよ。で、ハコ船からポンプでノリを吸い上げて運搬船に移して、船がいっぱいになったら港に運ぶそ。」少し離れたところに大きい船と小さい船が見えました。

「網一面にノリがついてたら収穫なんですね。ノリは、どのくらいの長さで収穫するんですか?」と尋ねると「20cmくらいかね。大体いつもは、11月の終わりには収穫が始まるんやけど、今年は遅かったねぇ。まだ1回しか採っとらんもん。その年によって違うけど、1つの網で大体7回くらいは採るね。今は、まだ採り始めやけぇ生で食べられるよ。生ノリは3番ノリまで。4番以降は、少し歯ごたえが出るけぇね。松屋地区のなんでも市場で売っとるよ。」と話しているうちに、運搬船がいっぱいになったようで、港に向けて動き始めました。そして、それを追うように田尾さんの船もノリヒビの周囲をぐるっと回って港に戻りました。

クレーンを使い海苔が入ったカゴを運搬船からトラックの荷台に移す作業を行う港の様子

漁港では、大石さんがクレーンで、ノリが入ったカゴを運搬船から持ち上げて、トラックの荷台に移す作業をしていました。青いプラスチックの大きなカゴには、真っ黒なノリがいっぱい入っています。そのカゴがトラックの荷台にびっしり2段に積まれると、宇部市の加工場へ運ばれていきました。

「今日は、どのくらい採れたんですか?」と聞くと「トラック2台分。板ノリでいうと3万5千枚くらいかな。多いときなら5〜6万枚分はあるけどね。」と大石さん。下関で採れた生ノリは、宇部空港近くの加工場で板ノリに加工されるそうです。

「この辺りは華山とか、高い山があって、そこから流れてくる木屋川があるやろ、近くに川がないとノリはできんのよ。それと、この辺は干満の差があるのもいいんよね。ノリが海に浸かったり、空気に晒されたりする乾湿差が必要やけぇね。ノリを鍛えるために、人力でノリの網を上げたり下げたりもするんよ。」と大石さんが教えてくれました。山の栄養分を川が運んで、海に注ぐことで豊かな海になり、その海で鍛えられてノリは立派に育つようです。

糸でつながれた数枚の牡蠣殻を見せる大石さん

山口県漁協王喜支店の事務所で、大石さんが糸でつながれた数枚の牡蠣殻を見せてくれました。

「ノリの胞子は、こんな牡蠣殻で育てるんよ。この殻は白いけど、胞子が成長したら表面が真っ黒になってね、その牡蠣殻を網に付けて海に入れて育てると、網にノリが付いて育つんよ。毎年3,000個も牡蠣殻を買ってノリを作りよるけど、そりゃあ手間がかかるいね。」

今では、王喜地区でノリの養殖をしているのは、大石さんと田尾さんの2人だけですが、実は山口県漁協王喜支店は、ノリの販売では山口県内でもトップクラスなんだそうです。実際に、年末の王喜支店では、次から次へとノリを購入する人が訪れていました。

「ここの板ノリは色と香りがいいけぇ、買いに来る人はみなさんほとんどリピーターやね。すぐ向かいのなんでも市場で、250g入ったパックの生ノリも売りよるけど、1番ノリは細くて柔らかくて美味しいよ。冷凍で保存できるんで、1人で50個とか買っていく人もおるよ。」と大石さんが教えてくれました。王喜のノリは、知る人ぞ知る、かなり人気の逸品のようです。

「生ノリ食べるときはしっかり洗って、程よく切ったらしっかり絞るのがコツよ。手ぬぐいで絞るのが一番いいね。あとはポン酢かけて食べたら美味しいよ。お味噌汁に入れてもいいし、天ぷらにしてもいいし。」と大石さんが食べ方のコツを教えてくれると、そばで田尾さんも「生ノリは時期が限られとるけぇ、ある時にぜひ食べてみて欲しいね。」と付け加えました。2人の表情からは、ノリの味への自信が感じられました。下関のノリを守る最後の砦とも言える2人が自信を持って作るノリ。ぜひ、下関産の生ノリと板ノリ、どちらも味わってみてください。

カゴいっぱいに収穫された海苔パック入りの生海苔

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