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【安岡木の芽部会】 日田呈(すすむ)さん 日田幸代さん

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【安岡木の芽部会】 日田呈(すすむ)さん 日田幸代さん

 下関市安岡地区といえばネギが有名ですが、古くから様々な野菜の栽培が盛んに行われてきました。そんな安岡地区で「木の芽」が栽培されていることをご存知でしょうか?「木の芽」はサンショウの若葉のことで、和食の香りづけや彩りの「つまもの」として欠かせない存在です。安岡地区は全国的にも数少ない産地のひとつで、昭和初期から栽培を行っています。
 安岡木の芽部会では12人の会員の皆さんが、本来春のものである「木の芽」を一年中出荷できるようにハウス栽培しています。
安岡木の芽部会の日田部会長のお宅では、お父さんの代から木の芽を栽培していて、ハウス5棟を順番に使いながら計画的に木の芽を生産しています。日田さんに案内してもらいハウスの中へ入ると丈が70cmくらいはありそうな、細い木の枝が数センチの間隔で畝にずらりと並んで植えられています。普段見かける庭木として植えられたサンショウの木とは全く違う様子に思わず「これがサンショウの木なんですか?」と聞くと「栽培用の苗ですよ。朝倉サンショウという香りのいい品種です。こうしてひとつのハウスに数百本植えます。この苗は愛知県から仕入れていて、一度に3万本くらい購入して冷蔵庫で冬眠させとくんです。植える時に数百本ずつ冷蔵庫から出すんですが、冷蔵庫から出して2、3日したら芽が出てくるんですよ。」と教えてくださいました。地面に植えるとどんどん新芽が出てくるそうで、夏場は2週間程度、冬場は1ヶ月程度で収穫できるくらいに育ちます。
 日田さんのお宅では苗を植えたり、管理するのは呈さんで、収穫や箱詰めは妻の幸代さんが行っているそうです。よく見ると整然と並んだ苗は少し斜めに植えられています。「父から教えられた植え方で、深さ20cmくらい掘って植えます。傾けてるのは収穫しやすいようにしてるんですよ。傾いてる方向に進みながら収穫していくと手元が見えやすいでしょ。サンショウの木は棘があるからね。」と日田さん。苗には棘がたくさんあるものとあんまりないものがあるようです。「種類によって棘が多いのもありますね。だいたい苗を見たら良い葉が出るかわかりますよ。」という日田さん。先代から受け継いできた伝統と経験が生かされています。この日はハウスの中はかなり暑かったのですが、日田さんが天井のすぐ下にかけられている黒いネットを指差しながら「こんなに暑いと本当は良くないんですよ。葉の緑色を綺麗に出すために遮光ネットをかけてるから少しはましだけど、温度は20度前後がいいんですけどね。夏の暑さと冬の寒さ、両方対処しないといけないので大変です。」と言っていました。

朝収穫したばかりの「木の芽」「木の芽」の箱詰め作業の様子

 「ここは今朝収穫したばっかりで、今はちょっと葉が少ないですけど…このくらいのが木箱に入れるにはちょうどいいですね。」と幸代さんが見せてくれたのは、3cmくらいの長さで、小さな葉が左右に均等に並んだ木の芽。とても綺麗な緑色です。「こうやってちょうどいい大きさのものをひとつひとつ爪先で摘んで収穫するんです。」と幸代さん。ハウスでの収穫の様子だけでなく、ご自宅での箱詰め作業も見せて頂きました。
 収穫された木の芽は水につけたりせず、なるべく空気に触れないようにまとめて新聞紙などに包んで冷蔵されます。そしてご自宅の作業場で、手のひらに乗るくらいの大きさの浅い木の箱に詰められます。幸代さんは小さめの葉を一枚一枚選んで綺麗に箱の中に並べていきます。1箱に52、3枚が並んだら出来上がり。少し大きめの葉はプラスチックのパックに並べて詰められます。出来上がったものは各市場から注文の連絡を受け、部会全体で調整しながら注文通りの数を揃えて出荷します。安岡の木の芽は北九州、福岡、広島、岡山、鳥取に出荷され、料亭やレストランなどで使われています。2013年に「和食 日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録されてからは海外でも和食が注目され、安岡の木の芽は香港に出荷されたこともあるそうです。
 コロナ禍で外食産業が影響を受け、安岡の木の芽も出荷量が大幅に減るなど大きな影響がありましたが、「安岡の木の芽は葉の大きさが揃っていて色が良く香りも良いと、市場でも評価して頂いているので手抜きはできません。」という日田さん。高い品質を維持するため、部会では月に1回は部会員が集まってお互いの生産品の評価を行う目合わせ会も行っています。各家庭で箱詰め、パック詰めしたものを持ち寄り、部会のみんなで数を確認し、保冷剤を入れ、丁寧に箱詰め作業をする現場を見ていると、部会全体の意識の高さが伝わってくるようでした。
 日田さんは、新しいチャレンジも始めています。サンショウの苗の栽培です。これまでは毎年苗を購入していて、多額の費用がかかっていますが自家栽培できれば収入を増やすことができます。「まだ始めたばっかりで、なかなかうまくいきませんね。」と言う日田さんですが、「でも頑張ってやってみようと思います。」と力強くおっしゃっていたのが印象的でした。地元の人にもあまり知られていないところで高い評価を受けている下関産品があることをぜひ多くの人に知って頂きたいと思います。和食のお店でお吸い物のお椀を開けた瞬間、ふっと香ってくる小さな緑の葉。その木の芽、もしかしたら安岡産かも知れませんよ。

小さな葉っぱが左右に均等に並んだ木の芽安岡木の芽部会のみなさんの集合写真

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