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【山口県漁業協同組合 豊浦室津支店】 室津のヒジキ 益田雅和さん

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【山口県漁協豊浦室津支店】 室津のヒジキ 益田雅和さん

3方を海に開かれた下関は、海岸線が長く、景観の美しい浜が多くあります。室津地区の浜も海水浴場として大変人気です。その美しい海は、多くの美味しい海の幸をもたらしてくれており、その1つにヒジキがあります。

室津地区では、1月の大潮の頃にヒジキ採りが始まります。山口県漁協豊浦室津支店では、20人ほどがヒジキを採っています。明け方、潮が引いた時間に取材に伺うと、現場の磯には、ウエットスーツを着て手に鎌を持ち、ヒジキを採っている数人の姿がありました。岩場の上には、大きく膨らんだ麻袋が点々と置かれています。

「おはようございます!」と声をかけると、顔の中心部分だけが出ている全身ウエットスーツ姿の益田さんが「おはよう」と返してくれました。足元の岩場には、あちこちに海藻が生えています。「どれがヒジキですか?」と聞くと「茶色いのは、ほとんどヒジキやね。今年はたくさんあるねぇ。去年は全然やったけど。」とのこと。岩場をよく見ると、海水に浸かっているあたりは、茶色くて長い海藻が、水面から出ている上の部分は、赤っぽくて短い海藻が生えています。

「ヒジキって黒くないんですね!」と言うと、益田さんは笑いながら「黒くなるのは茹でてから。茹でたら黒くなるんよ。普通の人は、生のヒジキは見たことないやろうね。海に生えとる時はこんな色よ。」と教えてくれました。

話しながらも、益田さんはヒジキを鎌でどんどん刈って、腰にぶら下げている網の中に入れていきます。益田さんが刈るのを見ていると、岩にくっついた根元の部分を残して、岩の上を鎌で撫でるように刈っています。「岩から全部引っ張り剥がす訳じゃないんよ。岩にくっついとるとこの少し上を刈るんよ。そしたらまた、そこから生えてくるけぇね。」

ヒジキには、表年と裏年があって、たくさん採れる年と少ない年があるので、少しでもヒジキが生えやすいように、地元のみなさんが海岸の清掃活動や、岩に張り付いた貝などを削り落とす岩盤清掃を行っているそうです。

全身ウエットスーツ姿で岩場のヒジキを採取する益田さんカゴいっぱいに採取されたヒジキ

話している間に腰に下げた網がいっぱいになると、益田さんは、近くの岩の上に置いてあったプラスチックのカゴの中にヒジキを移しました。そして、そのカゴもいっぱいになると、最初に見た麻袋にヒジキを移しました。

「これ1袋で多分20kgはあると思うけど、持ってみてん。」と言われ、持ち上げようとしてみましたが、全然持ち上がりませんでした。20kgはゆうにありそうです。2時間ほどで、麻袋3つがいっぱいになりました。近くでヒジキを刈っていた他の人たちは、海岸線に沿ってどんどん遠くへ行って、姿が見えなくなりました。湾の反対側の海岸でも、女性の方々がヒジキ採りをしているそうですが、人の姿がやっと確認できるくらいのところで作業をしていました。

足首まで海水に浸かりながらヒジキを採取する益田さんカマを使ってヒジキを刈り取る写真

「こんなに重い袋を持って帰るのも大変ですね。」と言うと「そうなんよ。みんな歳とったけぇ、運ぶのは若いもんにお願いしたりしよるよ。うちも息子が取りに来るようにしとるしね。」と教えてくれました。ヒジキは、採って終わりではありません。持って帰ってから加工する作業もあるのです。

益田さんは、自宅でヒジキを茹でる作業をします。大きな鉄釜で2時間半から3時間かけて茹でます。その時にお酢を入れるそうですが、昔は、橙を絞って入れていたそうです。さっと茹でると、茶色だったヒジキは緑色になり、じっくり茹でることで真っ黒になります。お酢を入れることで、発色がよくなるそうです。そのあとは、天日干しを行います。四角い木枠に網を張ったものの上に、茹でたヒジキを広げて干します。天気がよければ3日程度、長くても1週間くらいしっかり乾燥したら、袋詰めして保存します。益田さんは自宅で食べる分のヒジキを採っており、前の時期に採ったヒジキが次の収穫の頃に食べきるようになっているそうです。

「どうやって召し上がるのが好きですか?」と益田さんに聞くと「普通に煮物かねぇ。釜揚げしたヒジキを玉ねぎとマヨネーズで和えて、サラダにするのも美味しいよ。」と教えてくれました。

「自分のとこのヒジキしか食べんけぇわからんけど、美味しいんと思うよ。やけぇ、みんな毎年こうしてヒジキ採るんよ。」
なるほど、ヒジキ採りや加工は大変ですが、こうして毎年続いているのは、その美味しさを知っている人がいるからなんですね。

潮の満ち引きの状況をみながら、1月から3月までの間に3回程度収穫を繰り返す室津地区のヒジキ採り。他の方々が採っているヒジキも販売先が決まっていて、一般の人が買える場所に出回ることは、ほとんどありません。そういった意味では「幻」とも言える室津地区のヒジキですが、もしかしたら、地元の飲食店などで生産者さんから仕入れて、料理に使っているところがあるかも知れません。ヒジキの料理を食べる機会があったら「これ、もしかして室津のヒジキですか?」と聞いてみるといいかも知れませんね。

専用の木の枠にヒジキを並べて乾燥させる様子ビニール詰めされた出荷用のヒジキ

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