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【伊倉出荷組合】 組合長 池本誠実(もとみ)さん 田上常啓さん 浜野浅夫さん

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【伊倉出荷組合】 組合長 池本誠実(もとみ)さん 田上常啓さん 浜野浅夫さん

 下関市内で昔から葉物野菜の栽培が盛んな安岡や、垢田、伊倉の各地区で「ローマ」と呼ばれる野菜が栽培されています。「ローマ」というのは通称で植物名は「春菊」です。春菊は地中海沿岸が原産で、その昔イタリアのローマから伝わってきたという説もあり、下関では昔から「ローマ」と呼ばれています。(発音はイタリアのローマとは違って「仔馬」の発音と同じ後ろあがり)
 ローマは大葉春菊のことです。一般的な、切れ込みが深く入った濃い緑色の香りの強い中葉春菊とは違って、切れ込みの少ない丸みを帯びた黄緑色の葉で、少し厚みがあり香りが柔らかなのが特徴です。
 12月中旬、雪混じりの雨が降る寒い日に、ローマを栽培して30年以上という伊倉出荷組合の田上さんの畑を見せてもらいました。「寒いけ~、はよ入り。」とハウスの中へ案内してくれた田上さん。ハウスの中は風が当たらない分少し暖かく地面は一面の緑。ふんわりした丸い葉のローマがたくさん植えられています。畝には藁が敷いてありました。「ローマは葉が優しいけぇ、水の跳ね返りでも傷がつくんよ。やけぇ水跳ねせんように藁敷いとるんよ。」と田上さん。ローマの根元の土は黒っぽくふわふわです。水分が多すぎると病気になるので乾燥気味なくらいが良いそうです。「雨よけの他にも風で葉が揺れて擦れたら傷がつくんで、天候に左右されないようにハウス栽培なんですよ。」と池本組合長が加えました。

ハウスで栽培される一面、緑のローマの写真ローマと根元の黒っぽくてふわふわの土の写真

 「9月の中旬に種をまいて、10月になったら間引いて11月の終わりから収穫し始めて、出荷は2月いっぱいまでですね。」という池本組合長に「種から育てるんですか?」と聞くと、今度は田上さんが「そう、自家採種なんで、育てながら良さそうな株があったら植え替えて種を取るために別で育てるんよ。毎年良い株の種を選ぶんで強い種が残っていくんよね。ローマの種は強いけぇ、ちゃんと管理しとったら4〜5年経っても芽が出るけぇね。」と教えてくれました。代々選ばれた種だけが下関のローマの伝統を受け継いでいるのです。
 話しながら田上さんはハウスの中を歩いて、使い込まれた葉切りバサミでローマを一株収穫して見せてくれました。「このくらいのが出荷にちょうどいいくらい。」と言われたので「ここを全部収穫したら、また別のハウスのローマを収穫して出荷するんですか?」と聞くと「いや、ローマはこのハウスだけ。同じ株であと2回は収穫できるけぇ。」よく見ると根元から全部を切り取った訳ではなく、根元の辺りの葉っぱを残してあります。「ここを切ったらまた生えてくるんで、1株で3回は収穫するんよ。」とのこと。ローマ栽培は効率が良さそうです。
 田上さんはローマの他にも年間を通して小松菜を栽培していて、連作を避けるために来年はまた別のハウスでローマを栽培するそうです。
 これまで毎年9月に種をまいてこられましたが、近年9月はまだ暑い日が続くため種をまく時期を調整しています。あまり高温だと発芽率が悪くなるので、夜の気温がしっかり下がってくる頃合いを見計らって種をまくそうです。長年ローマを栽培してきた経験や技術を同じ組合の仲間3人で共有して下関の「ローマ」を守っています。

ローマの栽培ハウスの中での池本誠実(もとみ)さん、田上常啓さん、浜野浅夫さん

 ローマの旬は冬です。「ちょうど鍋の時期に出荷するんよ。フグ鍋にはローマやけぇね。」という田上さんの言葉通り下関ではフグ鍋に欠かせない野菜として知られています。ローマのふんわりした食感と優しい香りがフグの淡白な旨味を邪魔せず引き立てるからでしょうか。「ローマは香りが優しいし葉が厚めで食感がいいんで、刺身のつまやサラダとか、生で食べても美味しいですよ。酢味噌で和えても良いしね。」と池本組合長がオススメの食べ方を教えてくれました。「昔はね、秋のお祭りの時によう出よったよ。おばいけやフカの湯引きと一緒に酢味噌で和えたのとか食べよったけどね。」と田上さんも懐かしそうに話してくれました。
 昔から下関でフグとともに愛されてきたローマ。身近だった食材も食生活の変化で生産者が減ってきているそうですが、今でも地元で栽培され、地元のスーパーマーケットなどでも気軽に手に入る食材です。「伝統が途切れんようにせんとね。」と言う田上さんの言葉が印象に残りました。私たちもしっかり美味しくローマを食べることで地元の伝統を応援しましょう。
パッケージされた出荷用のローマの写真

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