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キジハタ
キジハタはハタ科の魚で、山口県では主に下関のほか、萩、長門、周南地区で漁獲され、「アコウ」とも呼ばれます。オレンジ色の斑紋が体全体にあり、ヒレも黄みを帯びています。大きさは30〜60cm程度で、成長の速度が遅いので40cm前後になるのに10年近くかかると言われています。8月から11月が旬で、白身の上品な味から「冬のフグ、夏のアコウ」とも言われ市場価値は高いものの、水揚げ量が少ないため「幻の高級魚」と言われています。
資源保護のため山口県海域では全長30cm未満のキジハタの採捕は禁止されています。日本海側に多く見られ、水深の浅い沿岸の岩礁域、特に砂底の混じった場所を好み、漁礁や人工護岸の周辺にもいます。行動範囲が1km程度の範囲で定着性が高く放流効果が得られやすいことから、近年は人工的に卵をふ化させて50mm程の大きさまで育ててから海に放流する「栽培漁業」への取り組みも進んでいます。山口県では、キジハタの資源増大を図るため、平成24年度からキジハタの稚魚を大量生産し、山口県の海に放流しています。下関地域では、山口県外海第二栽培漁業センターで生産された全長35mmの稚魚を、下関市栽培漁業センターで50mmまで育てた後、毎年8月から9月にかけて市内各地の稚魚が成長するのに適した場所に放流しています。下関市の沿岸には、キジハタ稚魚の放流効果を高めるため、各地に稚魚の成育に適した人工魚礁も設置されています。これから稚魚放流の効果が表れると幻の魚とは言われなくなるかも知れません。