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山口県漁業協同組合 伊崎支店 漁師 中島豊さん

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船の上でしもマルの看板を持って笑っている中島さんのアップの画像


 下関のシンボルでもあるフグ。その中でも特に高級とされる「天然トラフグ」を獲るのが下関のはえ縄漁師。資源保護のため漁期は9月から3月と決められています。市内の県漁協では伊崎、川棚、南風泊の各支店で合わせて20隻程度が漁を行なっています。その中でも中島家は元祖とも言える漁師の家系です。というのも中島家は1185年の壇ノ浦の合戦の後、安徳天皇の御遺体をすくいあげたといわれている家系なのです。

 

 赤間神宮の「先帝祭の由緒」によると『壇ノ浦に平家滅亡の際、中島四郎太夫正則(伊崎町、中島家の祖)という武士が、安徳天皇の御遺骸を奉葬し、郎党を率いて赤間関西端王城山に籠もり、再興を諮ったが機運遂に至らず、漁業を営むに至り、やがて例年先帝御命日には威儀を正して参拝を続け今日に至っている。』とあります。 

 この中島四郎太夫正則が中島さんのご先祖様。ということは漁師の家系で実に800年以上ということになります。現在もはえ縄漁で使われているフグ専用の仕掛けは、フグの鋭い歯で切れないように縄の一部がワイヤーで出来ていますが、その仕掛けの元となった「松葉」と呼ばれる針金で出来た仕掛けを考案したのも中島さんのご先祖様でした。

 

 以前は獲ったフグを売る仲卸もしていましたが、今は漁師一本。高校卒業後すぐに漁師になったという中島さんは「昔は、はえ縄もようけおったけど、今じゃEEZギリギリまで行くのは他におらん。」と言います。EEZ(排他的経済水域)ということは、中島さんがトラフグを狙う漁場は対馬の北、朝鮮半島の南のあたりで、下関からは片道9時間。3日から5日かけて漁をするので、一度漁に出ると1週間程度は海の上です。

 

船の上で両手に2キロはあるトラフグを持っている中島豊さんの画像船の活け間から網でトラフグをすくい出す中島豊さんの画像

 

 中島さんが漁をするのは特にトラフグが美味しくなると言われる12月から2月の間だけ。天気予報を見ながらしばらく天候が良さそうな時を狙って2人の乗組員と一緒に増栄丸に乗り込み、漁場に向かいます。過去にいつ、どこでどれくらいトラフグがとれたかは、すべてGPSに記録されていて、そのデータと、中島さんの経験から漁場を決めます。漁場を決めると、そこにはえ縄漁の仕掛けを入れて行きます。幹縄(みきなわ)と言われる500mの縄に80本のフグ専用の針がついている仕掛けで、エサに大羽イワシやアジをつけて海に流して行きます。これを全部で40本、合計20km。針の数は3200本にもなります。全部を海に入れるまで1時間半はかかります。そして1時間ほど置いてから、今度は引き上げます。20km引き上げるのに8時間ほどかかります。多い時には1日で130から140匹のトラフグが上がるそうです。かかったトラフグは最高級品のため、ふぐ同士が歯で傷つけあわないよう上げたらすぐペンチで歯を折り、水圧の変化に弱いため浮き袋に針金を刺して空気を抜きます。その後、船の「活間(いけま)」に入れて、生かしたまま持ち帰ります。この生かして持ち帰る技がフグの品質を大きく左右します。

 

 天然のトラフグは年々減少していますが、船の数も減っているので1隻が獲る量としては多くなる傾向があるそうです。中島さんが船で活かしている大きなトラフグをすくいあげて「これで2kgくらい。腹のところを触ったら白子があるかわかるよ。ここに白子がある。」とひっくり返して見せてくれました。「白子はさっと茹でてポン酢をかけてご飯にのせて食べたら最高よ。」とオススメの食べ方を教えていただきましたが、やっぱりトラフグ漁師さんならではの豪快な食べ方ですね。

 

 はえ縄漁の今後についてお聞きすると、「ニューフィッシャーで頑張っとる人もおるし、若い人がはえ縄に残ってくれたらいいね。」と笑顔で話してくれました。中島さんご自身、ニューフィッシャーの指導に当たったり、市内の小学校ではえ縄漁について紹介する授業をして若い世代に「下関のフグ」について知ってもらえるような活動もされています。

 

 歴史的にも下関とは切り離せない名物である「フグ」。それを獲る漁師の中島さんご自身も下関の歴史と深く結びついている家系。下関の最高級トラフグはこれからどんな未来に引き継がれて行くのかを考えさせられました。

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